よつ葉乳業株式会社 代表取締役社長
有田 真さん
1980年 農学部農学科卒業
- Q1
- まず、有田さんが岩手大学に進学された理由を教えてください
私は北海道余市町のりんご農家に生まれたので、家族の仕事に関係する勉強をしようと思っていました。岩手大学は、実際に栽培して研究する分野に強いこと、そして、自分の学力にも合ったことが進学のきっかけです。学科は農学科で、故・横田清先生に習いました。実際に作って収穫するという勉強です。将来、実家を継ぐことになってもいいように選びました。
- Q2
- 心に残っている大学時代の思い出があれば教えてください
私は4年間、学生寮の自啓寮にいました。登山が好きで、よく岩手山に登りました。寮の仲間と「ちょっと行こうか」という感じで、気ままに出かけていたことを覚えています。早池峰山にも登りました。晴天のときはいいですが、雨のときは大変でしたね。下山してから入る温泉がなんとも言えない心地よさでした。同郷の友人と二泊三日で槍ヶ岳に登ったこともいい思い出です。
- Q3
- 卒業後、どのような経緯で北海道協同乳業(現・よつ葉乳業)への就職を選ばれたのでしょうか
北海道協同乳業は変わった会社でした。十勝の8つの農協の組合長が集まって、自分たちの手で乳業会社を作ろうと立ち上げた会社です。どうしてそうなったのかというと、基本的に農業や酪農という分野は経済的には恵まれていません。成分や重量などをきちんと調べたうえで値段を付ければいいのですが、当時は明確な基準がなく、乳業メーカーが一方的に値段を決めていました。当時は自分たちの生乳の価値を把握して取引するという状況にはなかったのです。そういうなかで、自分たちで会社をつくり、工場をつくり、そして、自分たちで正しい価値を付け、きちんと収益を得ていくことを目指した会社が北海道協同乳業でした。私自身が農家の出身でしたから、そんな会社の理念に深く共感して、この会社の役に立ちたいと考えました。
有田 真 さん
- Q4
- よつ葉乳業は「生産者と共に成長を目指す」という理念の下、酪農家に寄り添った商品を作り続けていらっしゃいます。よつ葉乳業は、有田さんにとって、どのような会社でしょうか
生産者のための素晴らしい会社だと思います。それと同時に、私にとっては自己実現の手段でもあったと感じています。会社の理念を実現していくプロセスは、私の成長そのものでした。よつ葉乳業は、生産者のために生乳を買い入れて、付加価値を付け、収益を得て、生産者に還元するということがしっかりできています。そういう目標に向かって働けるということは大きな喜びです。社員もみんな頑張ってくれています。生産調整はありますが、乳量も上がってきていますし、売り上げも上がっています。前年度(2023年度)は過去最高の売り上げを記録しました。
- Q5
- 有田さんは本学農学部農学科を卒業されていますが、大学時代の研究と今のお仕事との関連については、どのようにお考えですか
実家がりんご農家だったので、岩手大学でもりんごの研究をしていました。ベンジルアデニンという植物ホルモンを使って、より早く実をつけるようにする研究をしていました。それなりの成果が出たので、卒業論文にまとめて提出しました。後日、横田先生から「よくまとまっているので、学会のための論文に使わせてほしい」という内容のハガキが届いたことは思い出深いです。
りんごに携わる研究を通して何を得たかということですが、やはり仮説を立ててチャレンジしていくこと、ダメだったら別の方法を探すこと、そうした地道な積み重ねが非常に大事だということを学びました。会社でも全てがうまくいくわけではなく、失敗することもあります。失敗したら違う方向から見つめてみることです。うまくいかないことは多いですが、すぐにあきらめてしまうのではなく、別の方向からチャレンジすることが大切です。
当社には特許を得た青カビ入りのカマンベールチーズがあります。これを販売用に大量生産しようとした際、白カビと青カビはどちらが優勢なのかわからないし、両方がぐちゃぐちゃに混ざり合ってしまうかもしれないという課題がありました。でも諦めずに挑んだ結果、商品化することができました。最初に地元の鉄工所に機械を作ってもらうところから初めたので結構な時間がかかった商品です。よつ葉乳業には、あきらめずに試行錯誤しながら作った商品がたくさんあります。
りんごに携わる研究を通して何を得たかということですが、やはり仮説を立ててチャレンジしていくこと、ダメだったら別の方法を探すこと、そうした地道な積み重ねが非常に大事だということを学びました。会社でも全てがうまくいくわけではなく、失敗することもあります。失敗したら違う方向から見つめてみることです。うまくいかないことは多いですが、すぐにあきらめてしまうのではなく、別の方向からチャレンジすることが大切です。
当社には特許を得た青カビ入りのカマンベールチーズがあります。これを販売用に大量生産しようとした際、白カビと青カビはどちらが優勢なのかわからないし、両方がぐちゃぐちゃに混ざり合ってしまうかもしれないという課題がありました。でも諦めずに挑んだ結果、商品化することができました。最初に地元の鉄工所に機械を作ってもらうところから初めたので結構な時間がかかった商品です。よつ葉乳業には、あきらめずに試行錯誤しながら作った商品がたくさんあります。
- Q6
- 今回、特典として寄附者へお渡しするギフトセットについて、ご紹介をお願いします
よつ葉ブランド製品の原料の生乳・乳原料はすべて北海道産のものです。高品質な生乳そのもののおいしさを活かすために、香料などの食品添加物をできるだけ使わない商品になっています。おつまみにぴったりのカマンベールチーズから、料理に便利なクリームチーズやシュレッドチーズ、バターミルクパウダーを使用したパンケーキミックス、特許を取得した大人のカマンベール&ブルーや、伝統的なチャーン製法でつくった瓶バターなど、こだわり抜いたものが詰まったセットです。
- Q7
- 最後に2029年に創立80周年を迎える岩手大学へメッセージをお願いいたします
岩手大学は地元密着型の大学です。東北出身の学生が多いですし、私の頃には農家出身の学生も多くいました。素朴な人が多かった印象です。学生には、ぜひそんな素朴なところを生かして、素直に、いろんなことにチャレンジしていってほしいなと思います。
2024年4月11日(木)、よつ葉乳業株式会社本社(北海道札幌市)にて収録