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岩手大学同窓会連合女性支部AlliAGE代表、岩手大学ダイバーシティ推進室特任研究員

菊池 麻由さん

2005年 人文社会科学部卒業、2007年 人文社会科学研究科修了

菊池 麻由さん
Q1
2024年6月に岩手大学同窓会連合に女性支部が設立されました。設立の経緯を教えてください。また、支部名「AlliAGE(アライアージュ)」に込めた意味についてもお聞かせください
 岩手大学では学部ごとに同窓会があることは知っていましたが、私はほとんど繋がりがありませんでした。同窓会では同窓生との親睦を深めることができますし、参加することで自身の仕事に役立つこと等もあると思いますが、既存の活動に参加する女性は少ないと聞いています。そこで、女性も参加しやすく、女性同士で繋がって、互いをエンカレッジできる場があればいいなと考えて女性支部を立ち上げました。立ち上げメンバーは私を含めて5人です。
「AlliAGE(アライアージュ)」という名称は、「同盟」や「仲間」という意味を持つ「Alliance(アライアンス)」に、「世代」を表す「Age」という言葉を掛け合わせて、「世代を超えて共に支え合う」という意味を込めました。世代に関係なく、互いをエンパワーする場という活動目的がよく表現された名称で、とても気に入っています。
 これまでの同窓会の活動にはベテラン層の男性が多く参加している印象があり、なかなか他の属性の卒業生が入るにはハードルが高いと感じます。アライアージュは、これまでの同窓会のイメージから少し離れて、多様な世代の女性たちが集う場になれば嬉しいです。
Q2
アライアージュの活動がスタートして、どんなことを感じていらっしゃいますか。また、今後の活動についても教えてください
 支部立ち上げの際に今後の活動について話し合ったのですが、20~30代の若手メンバーが多く、柔軟でおもしろい発想が次々と出てきました。その時の話し合いをもとに、2024年9月に開催された「岩手大学ホームカミングデイ2024」では、ダンスワークショップを企画しました。メンバーにダンス講師をしている人がいたからです。ただ、周知に課題が残りました。まずは、アライアージュを一人でも多くの卒業生に知ってもらえるように作戦を練っていきたいと考えています。具体的な活動については今後、さらにメンバーと話し合って詰めていく予定です。私は岩手大学で心理学を専攻していたので、当時の同級生に講師をお願いして、メンバーが自己肯定感や自己効力感を高められるような勉強会ができたらいいなと個人的には考えています。
Q3
菊池さんは本学人文社会科学部の卒業生ですが、学生時代はどのように過ごしていましたか。心に残っている思い出などあれば教えてください。
 私は人間科学課程行動科学コースに所属していたのですが、先生方や同級生、先輩、後輩に恵まれていたと感じます。学生時代を楽しく過ごすことができました。イベントも充実していて、研究発表会や温泉でのゼミ合宿、みんなで仮装した4年生を送る会など、いい思い出がたくさんあります。
 学部3年生のときには、心理学と社会学のそれぞれで自分が関心のあるテーマについて調査研究し、研究発表をするという機会がありました。その段階で自らの問題関心を見定めて、それについて調査分析するということを実践的にできたのは、とても貴重な経験であったと思います。卒論や修論も自分が知りたいことを形にしていくというのは苦しくも楽しいことでした。何とか書き上げたときの達成感は今でも忘れません。先生の助けや同級生の励ましなどもあり、とてもいい時間でした。
菊池さんは本学人文社会科学部の卒業生ですが、学生時代はどのように過ごしていましたか。心に残っている思い出などあれば教えてください。
Q4
菊池さんは本学のダイバーシティ推進室で特任研究員をされていらっしゃいます。現在のお仕事の内容を教えてください
 岩手大学では2022年度から科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアチブ(女性リーダー育成型)」に取り組んでいます。女性教員の採用比率や上位職比率の向上を目指した事業です。女性の先生方の業績蓄積やリーダー職としてのスキル向上のための様々な支援制度の運用や研修の実施などを行っています。女性教員の在職比率は順調に上がっていて、国立大学協会の調査(2024年)では、前年度比の上昇率が国立大学のなかで1位になったんです。取組の成果が出てきていることを実感しています。
補助事業のほかに2021年に設立した「女性活躍・ダイバーシティ推進基金(すずらん基金)」への寄附募集や、岩手大学男女共同参画推進学生委員会(GESCO)という学生たちの委員会の活動サポートもしています。
 私は仕事上、女性の先生方とお話をする機会が多いのですが、先生方がご自身の研究について楽しそうに説明する姿を見ることが好きです。日本の大学教員のなかでは女性が2割程度で、男性と比べるとかなり少ないのが現状です。本人が自覚しているかどうかは関係がなく、数としてのマイノリティーであると、そのことが原因で十分に力が発揮できないとか、数としてのマジョリティー以上に努力しなければならないということは起きてしまいます。ですから、性別、障害のあるなし、国籍、その他の様々な属性によらず、能力を最大限に発揮できるようにサポートする仕事には意義深さを感じています。
Q5
岩手大学は2029年に創立80周年を迎えます。これから本学に期待することがあればお聞かせください
 先ほど、学生委員会のサポートをしていると話しましたが、いまの学生たちを見ていると、男女共同参画やジェンダーについての問題関心をしっかり持っていると感心します。自分が学生だった頃と比べると本当に頭が下がるなという思いです。今の学生たちは様々なことに追われて忙しそうですが、そのなかでも時間を作って活動しています。どんな時代でも年上の世代は若者の悪い部分をクローズアップしがちですが、少なくとも私が関わっている学生たちは非常にがんばっていて、すばらしいと思います。これからも岩手大学の学生には様々なことに積極的に挑戦してほしいです。学生たちが失敗しても受け止めて、成功体験につなげることで社会に飛び出していけるような、岩手大学には、そんな大学であってほしいなと思います。
以前、働いていた職場では、上司や先輩に、私が岩手大学出身であることを伝えると、「岩手大学出身者は優秀な人が多いよね」と言ってもらえたりして、素直に嬉しかったです。出身大学が褒められると、自分自身のモチベーションが上がります。卒業生が社会で活躍して、岩手大学に対する評価が上がり、それがまた学生にフィードバックされて、やる気がアップするという好循環が更に生まれていくことを期待しています。
Q6
最後に本学を卒業した女性や現役の学生たちへのメッセージがあればお願いします
 女性が陥りやすいと言われているインポスター症候群があります。実力があるにも関わらず、自分を過小評価してしまう心理傾向のことですが、体感としても、その傾向がある女性は多いと感じています。印象に残っているのが、以前一緒に仕事をした、ある組織の役員の女性は、とても丁寧にかつスピーディーに仕事をする人だったのですが、雑談のなかで「自分は何もできないから、もし転職することになっても次の転職先は見つからないと思う」と話していました。謙遜という面もあったのかもしれませんが、本当にそう思っていると感じました。とても優秀なので、転職活動をしたら、引く手あまたになるかもしれないような人なのに、なぜ、そのように思い込んでしまうのか大きな疑問でした。
しかし、自分に翻って考えてみると、もちろん褒められたら嬉しいのですが、どこかで「私はそんなことはない。褒められるに値しない」というような気持ちがあるんですね。社会的圧力の影響が大きく、自らを正当に評価できない人は少なからずいます。ですから、自分を大切にすること、自分ができることに目を向けていくことに私自身も取り組みたいですし、多くの人に呼びかけたいと思います。アライアージュの活動では代表として参加者のエンパワーメントをしながら、自分を大事に、自分自身を思いやれる力を皆さんと一緒に育んでいけたらいいなと思っています。
岩大卒業生の女性のみなさん、アライアージュで一緒に活動しませんか。ご連絡お待ちしています!
【岩手大学同窓会連合女性支部AlliAGEのチラシはこちら】

2025年3月6日(木)、岩手大学上田キャンパスにて収録